北欧家具には数多くの名作デザイナーズ作品が存在していますが、その中でもGE290というソファは、ハンス・J・ウェグナーが生み出した名作ソファの一つです。シンプルな木製フレームにボックス型クッションを乗せたスタイルは、重厚でグラマラスなイタリアンソファなどと比べると、ある意味では非常に素っ気ないフォルムに見えます。しかし、その計算し尽くされたデザインとバランスの良い座り心地の完成度は高く、今なお、多くの人たちを魅了し続けています。
これだけの名作ソファともなりますと、正規品はもちろんですが、インテラボでも度々ご紹介しておりますリプロダクト家具(ジェネリック家具)も多く発売されています。中には品質の高いものもあり、悪くない選択かと思います。
しかし、GE290に影響を受けながらも、そこからより進化した新しいソファを生み出そうと多数の家具メーカーが知恵を絞って努力しているというのも事実です。
GE290というソファを理解したその目で新作ソファと向き合う時、どこがGE290と違うのか、どんな進化を遂げているのか、あるいは、メーカーの開発者が何を考えてこのソファを開発したのか等、いろいろ思いを馳せるというのも家具選びの醍醐味のひとつではないでしょうか。
また、前置きが長くなりました。今回のご紹介は人気インテリアショップ「Re:CENO」さんの「NOANA/ノアナ ソファー」をご紹介します。「GE290を起点として再構築した」とおっしゃる注目のオリジナルソファなんですね。
よりくつろげる為に、GE290にラグジュアリー感を加味した「NOANA/ノアナ ソファー」
GE290は、本当に素晴らしいソファなんですが、その魅力の根元はウェグナーの美しい造形美とバランスの良さにあると思います。クッション部分の絶妙な傾斜が素晴らしい座り心地を実感させてくれます。ところが意外なことに、GE290をまったく知らない人が初めてこのソファを見ると、なんとなく座り心地が悪そうに感じるそうです。でも座ってみるとバランスの良い座り心地に驚くわけです。ウェグナーの設計がどれだけ優れていたかという話なんですけどね(笑)。
褒めまくりのGE290ですが、現代社会で様々なニーズを目の前にしますと、必ずしも全ての人たちを満足させることができるとは限りません。
一番気になる点は、やはり座面の硬さと角度でしょうか。素晴らしい設計思想のGE290ですが、スクエアで固めのクッションは、人によってはチープに感じることがあるでしょう。そして比較的急な座面の角度。普通に座るには良いのですが、横に寝そべったりすると少し違和感を感じることがあります。
Re:CENOの新作オリジナルソファ「NOANA/ノアナ ソファー」では、フェザーやウレタンを潤沢に使ったラグジュアリー感を重視したクッションを採用しています。もちろんカバーリング対応でドライクリーニング可能です。現状でファブリック4カラーが用意されているようです。おそらく別売りの座面カバーも存在しているはず。個人的にはレザーやPVCも選べるとうれしいですね。今後に期待です。
そして、座面の角度もよりフラットに変更されています。このソファに限ったことではないのですが、今のソファのトレンドの一つが座面のフラット化と言われています。「NOANA/ノアナ ソファー」はわずかに傾斜がありますが、全くフラットな座面のソファが多く発売されていますね。理由としては、トレンドとしてローソファが流行っていることと、フラットな方が寝転んだり等、多様な使い方がしやすいということがあるようです。
ナチュラル感あふれる木製フレームは、GE290直系の造形美を踏襲しながら、新たに設計しなおしたアッシュ材のオイル仕上げのオリジナルフレームです。ボリューム感あるクッションとのマッチングも素晴らしいバランスです。
いかがでしょうか。Re:CENOさんの「NOANA/ノアナ ソファー」。こちらのショップの平均価格帯を考えると少しお高めの価格設定のようですが、それだけの意欲作ということなんでしょう。
実は、Re:CENOさんは京都に続いて、東京にも新たにショップをオープンされたようです。お近くの方はショップに足を運んで、是非「NOANA/ノアナ ソファー」の座り心地をお確かめいただきたいですね。
それまでは、Re:CENOさんの掲載ページにて、じっくりとご覧いただければと思います。